東京都港区南麻布 藤岡公認会計士事務所・藤岡正光税理士事務所 中小企業の経営者を支える会計事務所

東京都港区白金3丁目5番11−202号cyuu

営業時間:9:00~18:00(土、日、祝祭日を除く)

無料相談実施中

お気軽にお問合せください

交際費

交際費とは、得意先や仕入先等、事業上の関係にある者に対する接待等のために支出する費用のことです。交際費については、会社経費として認めらるのか、課税所得計算上の損金算入が可能なのか、というポイントが問題となりますが、税法上は詳細に定められています。税制改正で損金算入規制の緩和が実施され、適用が複雑になりましたので整理します。

交際費とは

交際費について、会計基準等にはその定義はありませんが、税法上に定義が示されています。したがって、会計上は税法上の交際費に該当するものを交際費として処理することが一般的に行われています。

租税特別措置法第61条の4第4項において、「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」とされています。

交際費といえば、飲食代が真っ先に思い浮かびますが、飲食代に限りません。例えば、お中元やお歳暮、取引先などに対する慶弔費、会社の記念行事に関連する支出なども交際費に該当します。

会社として必要な支出であれば経費として認められますし、税法上の要件を満たせば、損金算入が可能です。

 

交際費の範囲

交際費については、前記のとおりですが、同条同項には除外するものも定義されています。

 

① 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

② 飲食費であって、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用(1人あたり5,000円以下)

③ そのほか政令で定める費用

 

また、「③ そのほか政令で定める費用」については、租税特別措置法施行令で次のように定められています。

 

1)カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用

2)会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用

3)新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

 

これらについては、交際費ではなく他の費目として処理するものとされています。

具体的には、①は福利厚生費、②、③2)は会議費、③1)は広告宣伝費、③3)取材費として処理するかその他の適当な費目に含めて(例えば取材に要する交通費は旅費交通費など)にすることが一般的です。

 

交際費の損金不算入制度

課税所得計算上、交際費等のうち、接待飲食費の額の50%に相当する金額は損金に算入することができます。ただし、資本金1億円以下の中小法人は特例で、800万円又は接待飲食費の額の50%に相当する金額のどちらかを選択して損金に算入することができることとされています。

したがって中小法人では、2,000万円の接待飲食費の支出があった場合、800万円ではなく、50%の1,000万円の損金算入が可能となりますが、2,000万円もの接待飲食費を支出する中小法人はほとんどないと思われますので、実質的には接待飲食費を含む交際費総額800万円の範囲内で損金算入ということになるでしょう。

これは、平成26年度税制改正で、交際費等の損金算入の制限を緩和して交際費の支出を促すことで、景気浮揚効果を狙ったものです。

なお、中小法人の特例を除き、飲食費以外の交際費については従来どおり損金不算入とされています。

 

接待飲食費の範囲

飲食費といっても様々な飲食費があり、ではどのような飲食費が範囲に含まれるのでしょうか。税法上の飲食費とは、「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)」とされています。

具体的には、

 

・自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための飲食代

・飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等

・飲食等のために支払う会場費

・得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための弁当代(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)

・飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要するお土産代

 

では逆に飲食費に該当しないものといえば、次のとおりです。

 

・ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用

・接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費

・飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用

 

例えば、取引先等の接待のためのゴルフに際しての飲食費は、主目的がゴルフであるため、付随する飲食代はプレーフィーとともに交際費に該当するものと考えられます。

 

実務上の留意点

交際費とはならない接待飲食費については、1人あたり5,000円以下であるものとされていますが、租税特別措置法施行規則第21条の18の4で、次の事項を記載した書類を保存していなければ適用されないこととされています。

① 飲食等の年月日

② 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係

③ 飲食等に参加した者の数

④ その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地(店舗がない等の理由で名称又は所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の名称、住所等)

⑤ その他参考となるべき事項

これらの事項を記載した帳簿書類を整備しておく必要があります。

また、接待等でよく領収書を発行してもらうことがあるかと思いますが、必ずしも領収書でなければならないというわけではありません。

レシートでも領収書と同じあるいは領収書以上の情報が記載されていますので、証拠力として十分です。

ただし、レシートを証憑として利用する場合、注意点があります。

証憑類は、7年間(欠損金の生じた事業年度は例外規定あり)保存する必要があるため、感熱紙を使用したレシートの場合、内容が消えてしまう可能性があるので、コピーを取って合わせて保存しておくことをお勧めします。

また、飲食店のレシートには人数が記載されている場合があります。正しい人数であれば1人あたり5,000円以下の証拠力として上がりますが、レジの打ち間違いで実際の人数とは異なる人数がレシートに記載された場合、のちのちトラブルになる可能性があるので、経費処理するための飲食代のレシートについては人数欄についても確認しておきましょう。

 

まとめ

★交際費等のうち損金算入可能額

交際費等については、原則として損金算入できませんが、交際費等に該当しない少額(1人あたり5,000円以下)の接待飲食費を除き、接待飲食費の50%相当額まで損金算入することができます。

また、中小法人の交際費等については800万円まで全額損金算入することができます。ただし、事業年度ごとに損金算入額として接待飲食費の50%相当額を選択することもできます。

交際費等の支出は、会社経営や取引関係をスムーズに進めるために必要となる経費ですが、支出は事前承認と予算で管理を行いましょう。

★税務調査でのポイント

税務調査では、会社の事業活動上必要な経費であって私的なものではないかが重要なポイントとなります。

交際費等の支出は、会社経営や取引関係をスムーズに進めるために必要となる経費ですが、支出は事前承認と予算で管理を行いましょう。

また、会計上は交際費として処理していないが、税法上の交際費等に該当する場合があります。交際費と類似する費用、広告宣伝費、販売促進費、会議費、寄付金等との区分は適切に行う必要があります。

関連法規

【税務】

租税特別措置法第61条の4(交際費等の損金不算入)

租税特別措置法施行令第37条の5(交際費等の範囲)

租税特別措置法施行規則第21条の18の4(交際費等の損金不算入)

国税庁タックスアンサーNo5260~5262、5265

接待飲食費に関するFAQ

作成日:2017年1月20日

当コラムは掲載時点での法令等に基づいて記載しておりますが、法令等の改正があった場合にはできる限り追記などの方法で最新の情報に更新しております。

具体的な会計処理や税務処理を行う場合には、最新の法令等を確認されること及び業種や業態、取引内容によっては必ずしも当てはまらない場合がありますので、専門家等に相談されることをお勧めします。

また、当コラムの意見にわたる部分については、筆者の私見であることをお断りします。

お問合せはこちら

スピーディに対応いたします

お電話でのお問合せはこちら

03-4405-6019

営業時間:9:00~17:00
(土、日、祝祭日を除く)